坐骨神経は、腰からはじまり、爪先まで伸びている太さは小指ぐらいの長さは1メートルほどある人体の中で最も太くて長い神経です。

腰の筋肉のコリや緊張によって、この神経が圧迫されと重い痛みや痺れといった感覚を感じるようになります。

また長時間の座り仕事や同じ方向に向いて寝るといった日頃の行動で、この神経に炎症が生じてしまい坐骨神経痛になる場合もあります。

太く長い神経だからこそ、痛みが腰だけでなく、お尻から太ももの裏、足先まで幅広い部位に渡り症状を感じるようになります。

坐骨神経痛の根本的な原因は非常にシンプルで、『腰の筋肉とお尻の筋肉との緊張のバランスの違』と『お尻の神経の炎症』です。

椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変形性腰椎症、梨状筋症候群など、それ自体が坐骨神経痛の痛み発するような原因に伝えられることが多いのですが、実は違います。

腰とお尻の筋肉を緩める事ができれば、椎間板ヘルニアでも脊柱管狭窄症でも坐骨神経痛の痛みはなくなります。

椎間板の中にある髄核というゼリー状のものが左右どちらか片方だけ後ろに飛び出し神経を圧迫し痛みや痺れを感じるような症状のことを言います。

しかし、髄核が飛び出した椎間板ヘルニアの状態でも腰の筋肉のバランスを整えて可動域をつけてあげれば、神経は圧迫されず、痛みを感じることはありません。

このことは、今から25年以上前の1995年国際腰椎学会で発表され、腰痛界のノーベル賞と評される「ボルボ賞」を受賞した研究でも証明されています。その論文では、「椎間板ヘルニアと診断された患者46名」と「腰に痛みがない健常者46名」の椎間板をMRIで比較した結果を発表しており、腰に痛みがない健常者グループの76％に椎間板ヘルニアが確認されたと報告しています。

椎間板ヘルニアがありながら、痛みがないという事は腰の筋肉のバランスが整っており神経が圧迫されていない状態という事です。

※脊柱管狭窄症が坐骨神経痛に関係ない理由

加齢とともに発症することが多い脊柱管狭窄症は、40後半の女性・50代前半の男性によくみられます。

脊柱管の内面が椎間板と背骨や椎間関節から突出した骨などにより、圧迫されて狭くなってしまいます。

これによって、神経が圧迫され炎症が生じると痛みが発症します。

ただ…

神経が圧迫されて痛いのは、腰の筋肉が硬く、バランスと可動域が悪くなった状態の場合です。

脊柱管が狭くなったとしても、腰の筋肉に柔軟性があれば神経は圧迫されることはなく、腰やお尻に痛みや痺れを感じることはありません。

 もっとも気をつける事は「長時間座り続ける事」です。

長時間座ることにより、腰の筋肉のコリが強くなり、お尻の筋肉とのバランスが悪くなります。

また、お尻の筋肉の奥にある神経部分に炎症が生じると余計に重く芯の残ったような痛みが出てきます。

仕事でデスクワークをする際にも座り続けるのではなく、20分に一度は立ち上がって筋肉の緊張を取ってあげるだけでも、坐骨神経痛には効果的です。

このほか、重たいものを持つ、激しい運動をする、スクワット運動をするなど腰からお尻に過度な負担がかかるものは避けましょう。